実際に働いて日系より台湾系企業の方が優秀だと思う事(金銭センス編)

台湾カルチャーショック
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こんにちは!たまごです。

台湾に来て以来、5年以上台湾人オーナーの企業で働いてきた私。以前は台湾特有のグダグダ加減にモヤモヤすることも多かったのですが、今回日系企業に転職してみて、

「台湾企業(あるいは台湾人上司)の方ができていたこともたくさんある」

ということに気つきました。自分でも気付かないうちに、ベテラン上司から自然と教育されていたことにも。台湾企業で働いてきたこの数年間の経験は、ムダじゃなかったんだ!と、突然キラキラした気持ちになりました(笑)

今日はそんな、台湾系企業の方が得意なことのうち、お金の動きに対するセンスの違いと、値切りをするときの姿勢の違いについて、元・仕入れ担当者の目線からお話ししたいと思います。

お金の動きに敏感

普通の人が当たり前のように株をやる国、台湾

台湾人はとにかくお金の動きに敏感です。日本人よりセンスがあると感じます。

株を買っている人も、日本人の比ではないと思います。私の夫は台湾人で、金融関係のデータはろくに読めませんが、常にどこかしらの株を持っています。夫の友人もけっこうな確率で株の売り買いをしています。金額・株数は少ないかもしれませんが、とにかく株をやっています。人によっては毎日・人によっては何日かに一回株価をチェックして、「上がった」とか「下がった」っとか、「売り」だとか「買い」だとか言っています。

日本にいたときの印象だと、株をやっている人って特定の人たちだけ・・・例えば金融関係に詳しい人とか、一部の人たちがやっているイメージがありました。でも台湾の場合、うちの台湾の親戚を例に出すと、夫の家族は全員どこかしらの台湾の上場企業の株を持っています。うちの台湾の家族の中には、誰一人金融関係の仕事の人はいません。台湾人にとって株を買うことは、そのくらい当たり前のことなんだと思います。

毎日の為替レートチェックは当たり前

さて、仕事と関係なくてもこれだけ株価などの動きに敏感な台湾人です。仕事の上でならもっと敏感になるのは当然ですよね。

私は以前、台湾人オーナーの商社で、購買担当として働いていました。本部長はとてもおおらかな人柄の人で、私にいちいち細かい仕事の段取りの指示などを与えるタイプではありませんでした。それでも、日常的に「今、日本円とアメリカドル、ユーロは何台湾ドルかな?」とよく聞いてきました。それで私も、自然と毎朝、自分たちの会社のメインバンクの為替レートのURLを開いて、手帳にアメリカドル・日本円・ユーロが今日いくら(何台湾ドル)なのかを毎日チェックするようになりました。

こういうデータは、ネットでいつでも入手できるので、別に毎日見なくても、1週間に一回チェックすれば傾向などは数字ではわかります。でも私は、たとえば会議中などに台湾人上司が頻繁に購買担当者に外貨レートを言わせることにはとても意味があると思います。(働いている時はそんなに大きな意味があるとは思っていませんでしたが^^;)購買担当者が毎日動きを見ることで、為替レートの動きへのセンスが自然と身につくんだと思います。購買は毎日発注をしますから、たとえ決済条件が後払いだったとしても、当日あるいは翌日のうちに今どんな動きが起きているのかわかっておくことはとても重要なことだと思います。

でもとある日系企業ではあまりこういうことは行われておらず、購買・経理・財務担当者も1週間に一度大まかな動きをグラフなどで確認するだけです。その確認も もちろん必要ですが、台湾企業のデイリーの把握とはスピード感や、磨かれるセンスの程度が全然違ってくると思います。

もし仕入れ先から突然値上げを要求されても、今レートがどうなっているかわかっていないと、すぐに反応できないことも多いと思います。例えば日本から物を仕入れていて、日本円が台湾ドルに対して上がってきている時に、突然日本の仕入れ先から電話が入って「値上げしたい」と言われたらどうでしょう?毎日レートを確認していれば、即座に「うちも日本円が上がっていて苦しい、何だったら値下げして欲しいくらいの状況なんですよ…」とか、そういう切り返しが即座にできます。1週間に一回、キレイにグラフの状態になったレートの傾向を見ているだけでは、こういうスピーディな反応はできません。こういうお金の動きへのセンスは、台湾系の企業(台湾人上司)の方がずっと優れているかもしれません。

値切る!値切る!値切る!

台湾系の会社でよく起こっていたのは、数量が通常の購買量よりもちょっと増えただけでも「この量になったら安くならないかな!?」と上司に聞かれることです。とにかく何かと理由を付けて値下げ交渉のチャンスをうかがいます。私が前職で扱っていた商品は高級品も多かったので、たった5kg増えるだけでも、一キロあたりの輸入費用がけっこう節約できたりしていました。ということは、輸出社側でもある程度の節約ができているはず…と思うのは、ある意味自然なことです。

値下げ交渉は難しいだろうなぁと思うこともありましたが、良いものをできるだけ安く仕入れるのは私の使命の一つでしたので、毎回ダメもとで「たとえば○%ほど値下げしていただけたりしませんでしょうか?」「何キロ超えた場合に特価をいただけますでしょうか?」などという交渉をしていました。さすがにたった5キロアップでの値下げは難しかったですが(笑)、数量が二倍、三倍などとなった時には、メインのお客さんが優良企業であることを紹介をしたり、予定購買量を出したりして、欠かさず交渉していました。数量拡大の時は成功する確率は高かったですし、数量に応じて2回・3回と特価を出してくださる仕入れ先も複数社ありました。こういう交渉は、購買担当者にとってはごく当たり前のことだと思っていました。

ところが、とある日系企業では数量が2割増しになっても3割増しになっても、こういう直接的な交渉はしていないケースが多いことを知りました。台湾系企業・台湾人上司からしたらありえないことです。

私が以前台湾企業で購買を担当していたときは、自分たちが発注するときに、発注量に対してどのくらいの費用がかかるのか?数量がどのくらい増えれば、利益がどのくらい増えるのか?は、いろんなパターンでシミュレーションで計算していました。見積もりも何種類か取って比較します。

もし、もうちょっとで値引きしてもらえる数量に届きそうなときは、営業職に頼んで、お客さんに前倒しで発注していただいたり、数量を増やしていただいたりして、利益を確保していました。

私自身、ケチな性格だからかもしれませんが、実際に値下げをしていただけるかどうかは別として、何か一つでも価格交渉ができそうな要素があれば、言うだけ言ってみるということは当然のことだと思います。今回こういう、台湾系企業にとってみれば当たり前のことができていない日系企業があることを知って、驚いてしまいました。

おわりに

以上、最近感じた、台湾企業/台湾人上司の方が日本企業よりもずっとデキルと思われることについて、少しだけご紹介しました。この記事のカテゴリは「台湾カルチャーショック」となっていますが、実際には、日本人が日系企業に転職して感じたことなので「日本カルチャーショック」(逆カルチャーショック)が正しいですね!^^;

さて、先ほどはお金に関するセンスうんぬん言いましたが、もしかすると在台日系企業の社員さんたちは、台湾系企業ので社員さんたちよりも、ある意味ノンビリしているのかも?とも思います。というのも、日系企業は台湾系企業のように、「業績が悪いから」とか、「社長と仲が悪いから」とか、そいういう理由である日突然従業員をクビにすることはほとんどありません。そのためか、在台日本企業の社員は、ある意味平和ボケしているのかもしれません。日系企業独特の不思議な緊張感はあるのですが…それも業績に結び付かなかったら意味がありませんよね…。

台湾系企業の良いところとしては他にも、意思決定が早いことや、急な変更にも柔軟なこと、など色々あります。他にも何か興味深いエピソードがあればまたここでご紹介していきたいと思います。

今日もお付き合いいただき、ありがとうございました!

コメント

こばやし・たまご。台湾新北市在住。東京でのサラリーマン生活、オーストラリア留学を経て、2016年より台湾企業に勤務。
ムカつくこともあるけれど、私、台湾が好きです。

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