台湾人の「お名前」〜改名ルール/内線番号/トリッキーな英語名etc.

台湾カルチャーショック
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台湾人にとっての「名前」ってなんだろう?

こんにちは、たまごです! 

今日は台湾で生活していて実際に経験したり見聞きした、台湾人の名前に関するエピソードをお話したいと思います。

 突然ですが、みなさんは自分の名前は好きですか?

私の名前は幸いにも、英語圏でも発音しやすく、中国語圏でも響きが自然な上に、漢字が華人から見てもすごく良い意味なので、とてもラッキーです。 でも日本語名をそのまま台湾でも使ってしまうと、変な意味になってしまう人もいますよね。

自分の名前がいやだなぁという人も、少なからずいるんじゃないかなと思います。「同姓同名が多すぎるから」、「キラキラすぎるから」、などなど、理由も様々あるのではないでしょうか?

戸籍上の名前の変更が簡易すぎる

日本で戸籍上の名前を変えるのは、一大事ですが、台湾だと比較的簡単な手続きで変えられてしまうんです。 

台湾に詳しい方ならばご存知かもしれませんが、台湾では一生に3回まで戸籍上の名前を変えられちゃうんです。

 別のブロガーさんも書いているので今更感もありますが、例えば新北市のweb(更改姓名及更正本名)での説明を参考にすると、 職場やある程度近い親戚に同姓同名の人がいる場合・名前の文字が表す意味が低俗で下品なものになる場合・出家した、あるいは世俗の世界に戻ってきた場合・長すぎて読みにくいなど、特殊な理由があれば変更できるとのこと。

 必要書類は基本的に身分証・印鑑・戸籍名簿・証明写真で、1日で手続きが終わってしまうそうです。

ちなみに新北市の案内によると、費用は新しい身分証50元、戸籍変更手数料30元となっています。たったこれだけで戸籍上の名前が変更できてしまうなんて、日本人にとっては衝撃的過ぎますよね。

名字編 (Surnameのほう)

名字被りすぎで内線番号で判断

台湾は日本と違って姓のパターンがだいたい決まっています。 (そもそもこんなに姓が多いのは日本とイタリアくらいだと聞いたこともあります。) 台湾だと陳さんや林さんが非常に多いですね。

とにかく同じ名字の人が山ほどいるのですが、オフィシャルな場面だと、日本と同じでやっぱり姓を名乗るんです。 それでどうやって個別の人を見分けるのかというと、デスクの内線番号で判断するケースが多いんです。 下の名前も被っているケースもありますし、電話でどんな字を書くとか毎回言わなくても、番号なら聞き取りやすく記録もしやすいですよね。 

ということで、仕事で役所などに電話をすると、よく内線番号を聞かれます。 電話のときはもちろん、郵便物の宛名にも、「王小姐收 (分機123)」(Ms. Wang, 内線番号123)というような感じで書きます。

台湾のダブル姓

台湾は基本的に夫婦別姓ですが、私たちの親の代くらいの人-50歳〜60歳台以上の方は、結婚後女性が相手の男性の姓を自分の姓の前につけるということも多かったと聞きます。

私の夫は台湾人ですが、私のしゅうとめは、まさに自分の姓名を名乗るときは一番先頭に夫の姓をつけています。国民のIDカードも夫の名字が先頭に付き、続いて自分の姓、その後に名前となっています。姓名で計4文字です。 こんな風に姓がダブルになっているのを、雙姓と言います。(なんだか強そう!)

病院の待合室で名前が一文字伏せ字になって電光掲示板に映し出されるのですが、そのときも10〜20人に一人くらい、雙姓のお名前を見かけます。 

ただ、今の40代以下の方はほとんど雙姓は選ばないようです。台湾は去年から同性婚も認められるようになりましたし、男性の姓を優先させるという考え方はなくなっていくように見受けられます。 (追記:でも子どもが生まれるとほとんどの人はお父さんの姓を名乗っていますね。やっぱり父権主義が残っています。同性婚カップルで養子を迎えたりしたらどうなるんでしょうか。それぞれのカップルによって違いそうですね。)


ところで日本人配偶者の姓はどうかというと、数年前入籍した友人の日台カップルは、台湾の戸籍事務所で日本人の方の姓が漢字二文字の方だったのですが、それを台湾スタイルに合わせて一文字にしなさいと言われて、一瞬モメたそうです。最後は二文字で押し切ったと言っていましたが…。 

私の場合は何も言われず、申込書をだしてそのまま受理されました。ときどき、中国語にない日本語オリジナルの漢字の人は若干モメるようですが、自分の姓名はすべて漢字表記で、しかもどの漢字も台湾で普通に使用されているものだったので、姓名は一文字も変わらずにそのまま台湾の戸籍に登録されています。強いて言うならば、台湾では草冠(艹)の真ん中をちょん切られちゃってるくらいでしょうか(笑)

居留証や結婚、日本と台湾の戸籍についてはまた別の機会に詳しくお話したいと思います。

名前編 (Given nameのほう)

昔で言う”あざな”を持っている人もいる

あざなのようなものを自分でつけている(親につけられている)人がときどきいます。 それをLINEや社内スカイプで使っている人もいて、万一LINEやスカイプネームに本名の要素がまったく入っていない場合は、とっても見つけづらくて困ります(笑)

親から本名とは全然違うニックネームを与えられている子もけっこういます。 友達の子どもは、ユーファンという本名が別にあるのですが、それとは別に中国語のニックネーム”樂樂”をつけられています。この名前の意味はかわいい響きだと言う以外特にないようです。 ちなみに彼らによると”樂樂”を英語表記に変換するとLuluになるらしいのですが(Lalaじゃないんですね)、彼女の名字はLuなので、今後英語名を使って仕事をする際にはemailの署名欄に 

Ms. Lulu Lu 

と書くことになります。 絶対一発で覚えてもらえそうだけど、衝撃的すぎる…(笑)

西洋人の女性とアジア人の女性のイラスト

かわいそうな日本人

冒頭で私の名前は中国語的にもいい意味でラッキーだったというお話をしましたが、ラッキーな人もいればアンラッキーな人もいるわけです。一番かわいそうなのは

爽香(さやか)さん。

日本人にとっては、さわやかでかわいらしい印象のある名前ではないでしょうか? 

なんでも、台湾人にとってこの感じの組み合わせは、性感の方の”気持ちいい”という意味を連想させてしまうそうなんです。 

もともとこの漢字のさやかさんはどうしようもないかもしれませんが、ひらがなのさやかさんが台湾にいらっしゃる場合は、別の漢字の組み合わせを考えたほうがいいかもしれません。さもないと名乗るたびに台湾男子にモジモジされるということになるかもしれません。

親との関係悪化で改名

冒頭で、割と簡単に改名できちゃうというお話をしました。 

改名の理由として、よく占いで運勢のいい名前に変えるという人の話は聞くのですが、私の知り合いには、親との関係が悪化してほぼ勘当のような状態になったらしく、その親にもらった名前を変えてしまった人がいます。 

どう変えたかというと、英語名に寄せて変えていました。仮名になるのであくまでイメージとしてお話しすると、英語名を”David”という子が、戸籍上もともとは全然違う中国語名を持っていたけれど、それを”大衛”(=デイビッドの中国語読み)に改名してしまった感じです。そして、当然といえば当然ですが、名刺もサインも何もかもが、”大衛”に変更されたそうです。

政治信条・自己表現のための改名??

改名したことのある有名人の一人に黃宏成台灣阿成世界偉人財神總統と言う人がいます。 彼は嘉義市の市議会議員候補だったのですが、彼は本当に本名をこちらの長い名前に変えたそうで、ネットにIDカード(古い方のIDのようですが)の写真も出ています。 ちなみに彼の政見放送もすごくおもしろいので(賛否両論評価が別れます)ご興味のある方はぜひ探してみてくださいね。台湾ってこう言う意味では自由度が高いです…。

子どもの名前も占い”算命”で決める

名前は占いの先生に占い(算命)をしてもらって決めることが多いそうで、私の夫の家も、子どもが生まれたら、必ず占いの結果に従って命名しているそうです。 

家によっては、子どもが生まれたときに占いに行くのではなく、ご先祖様に「この代は名前のうち一文字は必ず〇という字をつける」と決められているところもあるそうです。たとえば友人の客家のご家庭がそうでした。(予言の書みたい?)

筆と「命名」と記された紙

ところで、ときどきふと思うのが、もし子どもができて占いで名前を決めるとき、元恋人と字が被ってたらどうするんでしょうか…?(^^;)我慢してつけるんですかね?私だったらやだなぁー。 台湾人のみなさんの中でこういう遭遇したことがある人が必ずいるんじゃないかと思うのですが、まだ直接は見つけられていません。 

夫は、私が過去に自分以外に付き合っていた人がいることを認めたくないようで、夫には絶対に聞けず…。(ものすごくピュアな夫です) 

最初に「この中から選んで」って、運勢のいい名前リストから選べるのならまだいいんですけど、もし何度占っても被ってしまっていたら、なんて言い訳しようか考えてしまいます。「昔付き合ってた人の名前が15文字の人だった」って言ったら信じてもらえるかな?(笑)

まだまだ続きます。

英語名も自由

ある日突然、ケイトがイサベラに

本名ですら割と簡易な手続きで変えられてしまうので、英語名も気軽に変えてしまう人がいます。 仕事で同僚がその人の英語名を使っていた場合、サインも英語名でしていますし、メールアドレスも英語名で作っているので、その点後々色々困るのですが、上司や人事やシステム関係には全く相談なしである日突然英語名を変えた若者(20代半ば)がいました。

 でも先輩社員に「最近英語名変えた」と言うと、その先輩も「何に変えたの?へぇっいい名前ね!」とすんなり受け入れている感じです。私からすると相当カルチャーショックでしたが、そもそも台湾人にとって名前というものは必ずしも一生ついて回るものという存在ではないようなので、これも普通のことの範ちゅうなのかもしれません。 

こんな感じで、相手が困るかもしれないということは考えずにLINEの名前も写真もコロコロ変えられるので、久しぶりに連絡しようとするともう誰が誰だかわからなくなり、見つけられなくなります。(もしかして私に見つかりたくなくてわざとやっているのか?といぶかりたくなる時すらあります…。)

台湾人のLINEフレンドを持っている人は、あとで相手がニックネームを変更してしまった後も見つけやすいように、自分でその人の名前を登録しておくことをおすすめします。

それから英語名は、上に書いたように自分で適当につけちゃう人もいれば、学校で英語の先生につけられたものをそのままずっと使う人もいます。 本名の発音にできるだけ近いものを選ぶ人もいれば、その時好きだった芸能人から取る人もいます。少ないですが、自分の本名をピンインで表したときのアルファベットを直接使ったり、それが中華圏以外の人にとって発音しづらいものだった場合は頭文字で通す人もいます。(”SH Kuoと呼んでください”みたいな感じです。この場合、SHが名前でKuoが名字です。) 職場では日本人は私一人、他はみんな台湾人で、全員英語名があるので、同じフロアにいる25人の名前を覚えるのに、英語名と中国語名併せて50個の名前を覚えなければいけません。

英語名も被っちゃった!

さらに紛らわしいのは、同じフロアに同じ英語名の人が二人いた時。もうやめて!という感じです(^^;)

その時みんながどうしていたかというと、彼らの本名を使うよりも、英語名に大小をつけて呼んでいました。中国語で、年齢が高い低いは大小で表しますので、大Paulと小Paulみたいな感じで呼んでいました。(大Paulって大天使みたいですね) 

でもさらに紛らわしいのは、身体は小Paulの方が大きいんですよ。外国人の私にとっては、慣れるまでちょっと大変でした(笑)

トリッキーな英語名

慣れないといえば、名字のようなイングリッシュネームをつけている人もいるんです。例えばJackson Huangさんとか、Holmes Chenさんみたいな感じです。

世界中探せばホームズさんというファーストネーム(Given name)の人もいるにはいるみたいなので、間違っているとはいえないんですが、名字なんだか名前なんだか一瞬分からないので、とっても紛らわしいです。

ちなみにうちの高雄人夫も英語名が名字っぽいんですよね。英語に疎いのに自分で英語名なんてつけちゃうとこういうことになります。

“小”+名字?”小”+名前?

私が小さい時は女性の先生は下の名前+先生で呼ばれ、男性の先生は名字+先生で呼ばれることが多かった気がします。 台湾もちょっとそういうところがあります。 

”小”を最初にくっつけると、「〇〇さん」という、親しみを込めた言い方になるのですが、男性を呼ぶ時は名字に小をつけ、女性を呼ぶ時は名前に小をつけます。基本的に、男性の名前に小をつけたり、女性の名字に小をつけることは、ありません。

例えば男性を呼ぶ時は、

・陳さん→小陳 

・林さん→小林 

女性を呼ぶ時は、

 ・(『ちびまる子ちゃん』の)たまちゃん→玉ちゃん→小玉 

こんな風に、小を付けるときは、男性は名字で呼ばれ、女性は名前で呼ばれることがほとんどです。

ちなみに名前の先頭に”阿”をつけても「〇〇さん」と言う意味になります。”阿”の場合は男性の名前にもつけられますが、”小”を付けるときよりもかなりくだけた感じになるので、ビジネスのシーンで使われているのを見たことはありません。

他にも台湾人のお名前エピソードはたくさんあると思うので、機会を見て追記などしたいと思います。「こんなこともあったよ!」という方、ぜひコメントいただけるとうれしいです。

おわり

コメント

こばやし・たまご。台湾新北市在住。東京でのサラリーマン生活、オーストラリア留学を経て、2016年より台湾企業に勤務。
ムカつくこともあるけれど、私、台湾が好きです。

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