こんにちは、たまごです。 今日は最近の台湾のコロナウイルスの状況と、身の回りで起こっていることについてお話ししたいと思います。
台湾の「警戒レベル3」とは
台湾では5月の半ばからコロナウイルスの警戒レベルが3に上がりました。
警戒レベル3というのは、最高の警戒レベル4(ロックダウン)のすぐ下のレベルになります。
警戒レベル第3級の期間中は、外出時のマスク常時着用
▽屋内5人以上、屋外10人以上の集まりを中止
▽不要不急の移動、活動、集会を控える
▽営業・公共の場でのマスク着用と社会的距離の確保徹底…
中央社フォーカス台湾 「警戒レベル第3級、来月14日まで 休校も合わせて延長/台湾」
このほか、全ての学校が登校禁止になり、オンライン授業などに切り替えになりました。
娯楽施設は営業停止を余儀なくされ、こっそり営業しているところを見つかった場合、罰金が科せられています。
外食関係は、見ている感じだと9割以上が自主的にテイクアウトのみにしています。
ロックダウンではないのですが、在宅勤務の人や、休みの日などは、自主的にロックダウン状態を実践する人も増えています。コロナウイルスが発生してから日本に帰国しておらず、実際この目で日本の様子を見ているわけではないのですが、人々の警戒度としては台湾の方が高い印象を受けます。
みんなの警戒意識(イメージ): 台湾のレベル3 > 日本の緊急事態宣言
台湾警察もマスクをしていない人の取り締まりを厳しく行っています。見つかったら罰金です。あまりの厳しさに、在台邦人からは「マスク警察」と呼ばれています(笑)
台湾は交通ルールが守られないことが多いので、複数の人が、交通の取り締まりもこれくらい厳しくやってくれたらいいのに…と言っています。
以下は、実際に私の周りで起こっていることについてお伝えします。
職場の出勤人数調整
2020年に台湾でコロナウイルスの感染が国内感染が起きた時には、台湾系の会社は社員に在宅勤務をさせませんでした。台湾人の社員は在宅勤務になると遊んでしまうと、経営者は思っているので…。その時は、日系企業や欧米系企業など外資系企業でのリモートワークの話しか聞いたことがありませんでした。
でも今回は台湾国内での感染が毎日広がっているということで、台湾政府がレベル3への警戒度アップを発表。これに基づいて台湾系企業もやむなく政府の呼びかけに応えることになったようです。
私の勤めている台湾系企業でも社員をだいたい半分に分けて「この週はA班が出勤」「この週はB班が出勤」というような形にしました。
ただちょっと問題があって、私の勤め先はA/B班シフトに関して雑な分け方をしたので、なぜか私のチームだと、私の出勤する週は、私一人しか出勤しない格好になってしまいました。(「ワンオペ」というやつだそうです。) ということで、私が出勤している時は、他のメンバーが会社でしかできない仕事が全部私に回ってきます。同時に重なってしまうとちょっと大変です。チーム内で一番社歴が長いのでそういうことになったのかもしれませんが…。
他にもおかしいと思うことが…。私の勤め先の管理職は毎日出勤しているのですが、役員様は、他の一般社員と同じようにA/B班交代出勤のルールに従って、全く会社に来ない週があります。普段職権を濫用して好きな時間に退勤し、やりたくない仕事は社員に丸投げし、経費で色々なものを享受しているクセに、都合のいいときだけ一般社員の条件を適用します。やっていることが矛盾してると思いますが、こういうところも台湾あるあるなのかなー?とも思います。 ※その後友人に聞いたところ、いくら台湾企業でもこういう役員は珍しいそうです。
公共交通での通勤
朝7時過ぎの台北MRTの様子。感覚的には普段の2〜3割くらい。
さて、ドキドキの通勤ですが、私は地下鉄(MRT)で出勤しています。勤務先が台北市内の人は、MRTを使っている人がとても多いです。
普段私が持っている板南線は東京の電車並みに混雑しますが、レベル3が発せられた後、たくさんの会社が二班(A/B班方式)に分かれて、あるいはいくつかの班に分かれての出勤を実践した成果、乗客の数は普段の6割から半分ぐらい、時間によっては2〜3割くらいまでに減った感じがあります。
駅に入った時も、一人ひとりの行動記録のため記名が必要なのですが、交通ICカードに記名(氏名やIDカード情報などを運営会社に登録)をしていれば鉄道の利用記録が残るので、毎回名前を書いたりスキャンしたりしなくてOKです。
◆聯合新聞網「防疫實聯制 指揮中心籲使用記名通勤卡」—政府が記名カードの使用を呼びかけました。
時間差を作る
お昼休みの時間も変わりました。私たちの会社で普段はお昼休みはもともと1時間半ありましたが、それを1時間に短縮して、退勤時間を30分繰り上げるようにしました。お昼買い物に出る時も、エレベーターが混むことを避けるために、部門ごとに出かける時間をずらしています。
建物に入館するときは…
コンビニ。以前のケチャップ入れが、今では記名用紙入れに。
会社が入っているビルや、コンビニやスーパー、市場などに入る前に毎回、QRコードを読み取るか、手書きで自分の名前や電話番号などの情報を書きます。QRコードのシステムは、台湾政府の感染症対策の一つです。いろんなお店の記名方法を統一&簡単にするため、オードリー・タン率いるIT省が開発しました。QRコードを読み取ると、ショートメッセージの画面に切り替わって、その施設に振り分けられた番号が表示されます。そのまま送信すると、政府の疾病管理局に送信されます。この通信料は無料です。
小吃店にもデパートにも、どこに入るにも記名かこのQRコードからの送信が必要になったので、最近ではQRコードが目に入ると、意味もなく「スキャンしなきゃ」という気持ちになってしまいます(笑)
(参考)フォーカス台湾「台湾、入店客の登録システム開発 スマホかざし「5秒で完了」 感染調査に利用」
体温測定
勤め先のビルでの体温測定は、以前は警備員さんが体温計を持って一人ずつ測ってくれていました。でも警備員さんも大変で、時間もかかるので、ある日カメラで体温を測れる装置が設置されました。
でもこのカメラは外の気温が高くなると壊れます。気温が35℃を超えた日だったでしょうか、誰が測っても体温が37°を超えてしまったので、こういう時は結局予備の体温計で警備員さんにハンディ体温計で一人ずつ測ってもらってから入館しています(^^;)体温計しょぼい!
警備員さんたちは何人か交代で来ているので毎日違う人ですが、仕事は大変になったはずなのにみんな陽気な人が多いです。「おはよう〜!」「ショートメッセージちゃんと送った?」「今退勤かい?帰れるねっ!うれしいねっ!!」と、なぜか楽しそう…。(通常時よりも入館者との交流が増えたから、楽しいのかな!?) みんな心の余裕が少しずつなくなってきている中で、警備員さんがこれだけ明るいと、ちょっと癒されますね。
準備不足の在宅勤務シフト制
さて、在宅勤務についてですが、会社の在宅勤務の準備も不十分だったので、会社のパソコンを持って帰ることができる人と、できない人が出てきました。会社のパソコンがなく家のパソコンもない人も、ある日突然在宅勤務を命じられました。彼女が一体家でどのように仕事をしているのか私には分かりません(笑)
私も実は会社のパソコンは持たされていません。 自分のノートパソコンでウェブメールにアクセスしてメールチェックしています。他の資料などは自分のパソコンで編集して社内に入る後輩にお願いしてプリントアウトしてもらったり、管理職のサインをもらってもらったりしています。会社の準備も不十分だったので、作業はとてもやりにくいです。
それでも、今から何か改善をしようとしているかと言うとそうでもなく、このままダラダラと会社の情報を家のパソコンで開けさせて、レベル3の警戒が解けるを待つ、といったような感じです。情報管理のルールなども特に指示されていません。
在宅勤務に限らず、いろいろなプロジェクトでも、台湾企業は準備がパーフェクトではなくても、7〜8割がた「大丈夫かな?」という段階で実行に移してしまうことが多いです。
私が在宅勤務を命じられたのは当日の お昼を食べ終わった頃でちょうどドリップコーヒーを入れ終わって、「ゆっくり飲もう〜♡」などと思っていたところでした。そこでいきなり
「アナタ今から在宅ね!家にパソコンある?Ok!」
みたいな感じで在宅勤務を命じられました。非常事態なので仕方ないことも多いのですが、さすが台湾系企業、すごい急(笑)仕方ないので、タンブラー(よかった!フタついてる!)に入ったコーヒーを持って家に帰り、家で自分のノートパソコンを開けて、在宅勤務を始めることになりました。
その翌日から、毎日オンラインで部門の全社員と会議を開いています。レベル3のルールだと、一つの部屋に5人以上集まってはいけないことになっています。ということで、会社で留守番担当の社員たちも、会議室では5人以上にならないように気を使っています。ウェブ会議の参加者の中でスマホを使っている人が多い場合、音声などに問題が起きることが度々あって、始める時に毎回5分から10分くらいモタモタします。
いろいろ問題はありますが、少なくとも在宅勤務を取り入れてくれたことはよかったと思います。
「レベル3」になっても何も変わらない会社も
イメージ
一方、とある在台日系企業では、二班に分かれたりとか出勤する人数を減らしたりとか、そういったことを一切せずに、通常の人員数のまま営業を続けているようです。
日系を含め、外資系は特に真っ先に在宅勤務に切り替えたところが多いはずですが、この状況で政府の推奨をスルーしてそのまま営業を続ける会社というのも珍しいですよね。(上層部が何も考えていない可能性もあると思います。)
その会社は 店舗展開している消費者向けの業態です。お客さんは確実に減っていると思うので、お客さんが激減している中で 通常と同じ人数で営業を続けるというのは利益面から考えてなかなか理解しにくいことですが、こういう会社もあるんだそうです。
※二班に分かれる出勤スタイルは推奨されているだけで、法律で定められているわけではないので、罰則などは特にありません。
クリニック
大きい総合病院だと、緊急性のない健康診断や手術・治療は延期になっているところが多いです。
私の通っている歯科矯正クリニックは開いていますが、クリニックの方から「本当に来る?うちは開いてるし、患者さん次第なんだけど…」という電話が来ました。ロックダウンではないし、放っておいたら放っておいたで細菌も増えるし、ちょっと痛いところもあるのですが、普段あまり自分の意見を言わない夫に
「警戒レベル3が解除されるまで待ちなよ」
と言われ、しばらく治療は延期することにしました。
コンサートなどの公演は延期に
イベント会社の発表を見ると、レベル3の対象となった期間に行われるはずだったコンサートなどは、2ヶ月〜3ヶ月延期などとなっています。もともと5月開催予定だったイベントは、7月〜8月に延期されました。
私も6月半ばにミュージカルを観に行く予定だったのですが、延期になってしまいました。新しい日時はまだ発表されていませんが、ミュージカルは出演者はもちろんスタッフの数も多いと思うので、調整はとても大変だと想像します。
◆参考:イベント会社 寬宏
ニュースに出てくる中国語&略語
●病毒 bìngdú
“ビンドゥ” ウイルスです。パソコンのウイルスも”ビンドゥ”と呼びますね!
●新冠病毒 xīnguān bìngdú / 武漢肺炎 wǔhàn fèi yán / Covid19
新型コロナウイルス
●感染 Gǎnrǎn
感染/感染する
●疫情 Yìqíng
感染(の流行)
*疫情升溫 shēng wēn = 感染拡大(感染者数の上昇)
●確診 Quèzhěn
診断される/感染確認
●疫苗 Yìmiáo
ワクチン
●封城 Fēng chéng
ロックダウン
●手語翻譯 Shǒuyǔ fānyì
手話通訳
●輝瑞 Huīruì
ファイザー Pfizer
●BNT
ファイザー社の「バイオンテックCOVID-19ワクチン」の略語です。
●AZ
アストラゼネカ: コロナウイルスのワクチンを作っているAstraZeneca社の略です。
●血栓 Xuèshuān
日本語でも中国語でも漢字は「血栓」ですね。アストラゼネカのワクチンで、全体の何%かの人に血栓ができてしまう副作用が懸念されています。
●莫德納 Mò dé nà
モデルナ Moderna社
●萬華活動 Wàn huá huódòng
台北市萬華區でのアクティビティ(コロナ関係では性的サービスを提供するお店の利用歴の説明でよく使われている表現)。ここでの行動歴がある人や、行動歴がある人との接触歴がある人々の間で感染が広がっています。
●茶藝館 Cháyì guǎn
大昔は本当にお茶を楽しむ場所だったそうですが、今は、お酒が出されて、下着姿のような女性が出てくるお触りokのお店だそう。
こういうお店は外国籍の従業員も多いそうで、本来、お年寄りのお世話をするヘルパーさんの仕事で台湾のビザを取得した外国籍の女性が、お金のためにこのようなお店で違法に働いているケースも多いと聞きます。今回コロナの感染が発覚した時も、数人のベトナム人従業員が逃げてしまって、台湾政府が探し回ったということがありました。
●阿公店 Āgōng diàn
直訳すると「おじいちゃんの店」ですが、萬華の阿公店は、中高年の女性ホステスが席について、おしゃべりの相手などのサービスしてくれる中高年キャバクラのようなところだそう。今では、若い女性のいるお触りokのお店も含めて、阿公店と呼ぶことも多いそうで、境界はあいまいなんだそうです。
最初「阿公店」と聞いた時は何のことかわかりませんでした(^^;)
ネットで見かけたのですが、とあるお母さんが、高雄の地名“阿公店”(”阿公店水庫” というダムがあるところ)と間違えて「お母さん行ったことある」と言ってしまい、子どもがビックリしてしまった、という微笑ましいエピソードがありました。
おわりに
突然高まったコロナ対策・・・体温計が壊れたり、機器の準備が不十分だったりと、細かいほころびはたくさんありますが、いろんな形で補ってなんとかしているところが、すごく「台湾っぽい」と思っています。
そして突如始まった在宅勤務。初日は部屋にいろんな種類の虫が出たり、ハウスダストで喉が痛くなったりしてなかなか慣れませんでしたが、冷房を入れて掃除もして、ようやく落ち着きました(どんな汚部屋なのか)
外出や人との接触を極力避けよう、という状態なので、電子マネーにうとかった私も、「できるだけ現金を触らない方がいい」と思うようになりました。
台湾の電子マネーもいろいろあるのですが、高雄に本社がある交通カードサービスipass(一卡通)がLINE Payも運営しているということで、ipassに記名して、さらに、LINE Payも申請してみました。こうやって生活のいろんな小さなことが一つずつ変わっていくんでしょうね〜。
テレビでもネットでもコロナウイルス関係のニュースが一気に増えて、自分も気になるので、気づくとそればかり見てしまいます。でもあまり暗い気持ちにならないよう、普段している楽しいこと(音楽を聞くとか、バラエティ番組を見るとか)も、できる限り続けていきたいと思います。
今の警戒レベル3は、現状6/14までの予定です。予定通り、この日で終了できることを願ってがんばりましょう!
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