台湾の超・同族企業のダメな例〜私物化・理不尽・おかしな出来事の数々

有刺鉄線 台湾カルチャーショック
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こんにちは、たまごです。先日、転職先を決め、約5年間勤めた台湾系の同族経営の会社を辞めました。台湾系の会社はほとんどが同族経営です。同族経営はもちろんいいところもあるのですが、この会社の場合、特にここ2〜3年は、同族企業の悪いところを凝縮したような体制になっていました。

台湾の超・同族企業で一体どんなことが起きているのか、これから台湾で就職・転職される方の何かの参考になればうれしいです。

私が在籍していた期間中、特に最後の一年間は、この会社に出勤している一日一日が自分にとってムダ、むしろマイナスになっていると感じていました。家で本を読んだりしている方がよっぽど自分のためになると思っていたのです。それで、ずっと転職先を探していました。ですので、今回新しい勤め先が見つかり、本当にうれしいし、ホッとしています。

会社がまだマトモだった頃

この台湾系の会社は、台湾の中では歴史があり、ある程度の規模もある専門商社です。私が入社したときは、もっとマトモな会社でした。

当時は創業者である会長が存命で、直接会長に面接してもらって、「日本市場の新商品導入」の担当者として採用されました。常に新しいアイテムと市場を開発していくという、とてもやりがいのある仕事でした。

会長はもともと一人で事業を興した人なので、会社のすべての部門に精通していました。特に日本市場に関してはピカイチで、日本の商習慣をよく理解し、ネイティブよりもネイティブな日本語を操り、日本国内でも超一流の企業の高品質な商品を仕入れたり、ライバル企業に先駆けて、台湾市場の総代理店契約を結んだりしていました。

ところが、私が入社して間もなく、高齢だった会長は亡くなってしまいます。

他人の仕事・手柄を横取りする同族社員

会長が亡くなったあと二代目の社長が名実ともに会社の代表となり、若い三代目が私たちの部門にやってきました。三代目はきょうだい2人でやってきました。

毎朝朝会で、会議室では社歴順に座るのが慣例ですが、この同族社員が私よりも早く会議室に入ってちゃっかり私より前に座るのに違和感を覚えました。

同族社員たちは当初何の役割も与えられていなかったので、役職者たちも全員困惑していました。

そんな中、私が担当している日本企業の方の来訪があり、その会議に同族社員のうち一人が「参加したい」と言い出しました。この同族社員は、中国語はネイティブ、英語が流暢なレベル(英語圏からの帰国子女)、日本語は日常会話レベルです。日本企業側の担当者は中国出身の社員さんでした。この同族社員は中国語が話せることを利用して会話の主導権を取り、商品カタログがほしいと先方に伝えました。一方私は会議の内容は聞き取れてはいるものの、当時の私では、発言はネイティブのスピードには追いつけませんでした。

会議の後同族社員は

「今後この日本企業は私が担当しますね。先方さんは”私に”メールで資料請求してほしいって言ったから」

と言い、私の担当企業を横取りしてしまいました。いくら会議で同席して、後で連絡してほしいと言われたとしても、通常は既存の窓口担当者に任せるのが常識です。おそらく、当時何の仕事もなかったところに、ちょうど中国語を話せる日本企業の担当者が来訪したので、チャンスだと思ったのかもしれません。

でもその後、この中国籍日本企業担当者は、この同族社員をほとんど相手にしませんでした。不在がちで、メールの返信もとても遅く、かつ、送られてくる商品資料は難しい内容で専門用語が多く、新入社員にとっては多くの勉強が必要でした。もしそこで個人的に努力して理解を深めていれば、成長できたと思いますが、その同族社員は「めんどくさい」と思ったようで、ある日「この会社、やっぱりアナタが担当したほうがいいと思うから返すね」と言われました。

でもこのまま何の経験も積めない状態はこの同族社員にとっても良くないと思い、上司と相談の上、一社この同族社員のためになりそうな会社の担当を譲りました。日本の会社ですが、先方は英語も話せて、業界や台湾市場にもとても詳しく、フレンドリーな話しやすい方で、かつ、そこまで頻繁に発注機会がない先です。難易度・負担がそこまで高くない上に、色々教えてくださる方なので、とても勉強になるであろう取引先でした。でもその取引先とも、あまり真剣に向き合わなかったようで、どんどん疎遠になっていきました。

今でも同族社員の商品・業界知識は、入社一年目のレベルです。複数の同僚に、「たまごのところのあの同族社員、いつまでも新人が聞くような質問ばかりしてくる。どうにか教育してもらえないかな?」と言われていました。私も、教えられることは教えていましたが、マジメに聞いていないのか全然吸収せず、朝教えたことを昼にも午後にも聞かれたりすることもしばしばありました。


その後、日本市場は商習慣が複雑で、介入しきれないと感じたらしく、同属社員の私の仕事への口出しはどんどん減っていきました。一方、中国や欧米を担当していた同僚に対しては干渉が日に日にひどくなっていきました。

同族社員は、毎日の会議で、私たち社員が苦労してやった仕事を、あたかも自分がやったかのように報告しました。同僚はあまりに多くの理不尽さに、「やっていられない」と、退職してしまいました。

会社のお金で「出張」という名の海外旅行

さて、この同族社員ですが、コロナ前は「出張」と称して海外旅行で会社を1ヶ月も開けたりしていましたが、コロナ後出国できなくなってからも、昼休みよりもずっと前に抜けて行って、午後は昼休み開け30分〜何時間も遅れて戻って来ることがほとんどでした。午後戻ってこないこともありました。

どうして私がこんなにはっきり「海外旅行」と言うかと言うと、この同族役員の出張申請書を偶然目にしたことがあるからです。日程表は取引先一社を訪問する以外はガラガラで、それに社長印と役職者らのサインがしてありました。会社のお金で海外旅行に行くことは、社長も公認ということなんですね…。

「出張」に行っているとき、「どこにいるの?いつまで?」と聞いても、直接答えず「用があるならスカイプで連絡が付くから大丈夫」という答えしか帰って来ませんでした。

「海外出張」の収穫は、とある会社のパンフレット一枚だけ、などということもよくありました。私に対しては、申し訳程度の小さなメモ帳などをお土産としてくれたこともありました。あまりに人をバカにしていると思ったので使わずに捨てました(メモ帳を作った方ごめんなさい…)。


ところでこの会社では社内でスカイプを使って連絡を取ることも多いです。部署がたくさんあるので、相手が電話中の時はメッセージを残せるし、いちいち別の階の同僚を訪ねて行ったりしなくてもいいので確かに便利です。でも同族社員はスカイプを万能の道具だと思い込んでいるようで、スカイプへの返事が遅くなると不機嫌になります。返事が遅い社員を、ものすごいけんまくで怒鳴りつけるということが、一度だけありました。私は同族社員よりも先輩だし歳も上のせいか、そういう扱いを受けることはありませんでしたが、新人さんはビクビクしていて、就業時間が過ぎた後も同族社員の返事が来ないと、ずっと待っている、ということがしばしばありました。サービス残業です。急ぎの用があるなら直接来て言うか、電話すべきです。

えげつない飛び級昇格

その後その同族社員は一年するかしないかの頃、なんの功績も上げていないにも関わらず、部長代理と課長に昇格します。その後株式も引き継いで、役員にもなりました。日本の取引先がそれを知って、私に

「超・同族企業ですね!!」

と、皮肉半分に耳打ちました。

この会社は元々社歴3年で課長に昇格できるチャンスがあったのですが、この役員のせいでその制度は事実上なくなり、私の昇進は絶たれました。

実力がなくても、役職を付けることで実態が伴っていくこともあるかも、と思ったこともありましたが、同族社員たちが変わったことは「偉そうにする」ことだけで、仕事上のスキルは全く上がっていきませんでした。

取引先との大事な会議にも、出てくれと言っても、うやむやに交わして出てくれないことがほとんどでした。というわけで、同族社員たちの更に上の上司(本部長)への助言などは、私が行っていました。本部長はベテラン社員ですが、創業者一族ではなく、同族社員のコントロールもできません。私は本部長や同族社員のメンツを保ちつつ、同族社員の尻拭いをしたり、日本企業とのトラブルを未然に防いだりと、毎日毎日とても気を遣いました。

この様子を見て、ある人は「たまごは”家臣”だね」と言いました。でも同時に、

「この会社では家臣にはなれるかもしれないけど、高層(重役)にはなれないね」

とも言われました。その通りです。

気に入らない社員は即クビ

不自然!メンバーの退職をチームのみんなに一切伝えない

以前、同族社員がとある試用期間中の社員をある日突然クビにしたあと、そのことを他の社員に一切説明しないということがありました。

クビになった社員の教育は、同族社員ではなく他の社員がやっていたので、その教育係の同僚にも何も言っていなかったことを知り、とても失礼だと思いました。

それで同族社員を呼び出して、「急に来なくなった新人は解雇されたのか?」「私たちはチームなんだから、メンバーがいなくなるときはせめて言ってほしい。特に同僚のAは社員教育を一生懸命していたから、必ず伝えるべき」と言いました。

すると同族社員は、新人教育を一番していたのは自分だと言い出しました。同族社員が実際にやっていたのは、単にスカイプで色々なリストの作成を指示していただけで、同族社員自身も会社のシステムの使い方などはよくわかっていないのです。

私はもう一度「チームのメンバーがある日突然来なくなったらみんなショックだ。その理由と、今後どうするべきかは最低限みんなに伝えるべき」と説得して、ようやくチーム全体に、新人さんの退職が伝えられました。こういう通常のコミュニケーション上必要なことに、いちいち説明や説得が必要な職場でした。

キーマンをクビにした結果

役職がついた後の同族社員は、社内の「派閥」を意識するようになりました。別にそんな「派閥」は実際には存在しなかったと思うのですが、部門の技術職のリーダー(営業職出身)と、その人に近い人たちをジャマだ思うようになったようです。

同族社員はある日、その技術・営業職のリーダーを含めた、社内のキーマンらの落ち度を見つけてクビにします。

その後、同じように、営業職出身で、技術的なリーダーを担える人を補充するべきだと思いますが、同族社員主導で、なぜかフレッシュマンばかりを入社させます。私は同族社員に

「どうしてフレッシュマンばかり入れるの?前任者と同じような、部長代理レベルの経験と知識のある人を入れてほしい

と意見しました。ところが同族社員は、

「若くなければ営業職は務まらないでしょ」

と訳の分からないことを返してきました。会話はそこで終了してしまいました。

あとで人伝いに聞いた話だと、同族社員は、経験のある人材に高いお給料を払いたくなかったので、お給料水準の低いフレッシュマンを探していたんだそうです。

その後どうなったかというと、そのフレッシュマン営業職のレベルがとても低く、商品知識がないことに加えて、商品カタログも何も持たずに顧客訪問するようなことが日々起きていました。他にもお客さんからの納期を忘れたり、そのことを上司に報告しなかったりと、ミスもとても多かったです。経験のある社員をみんなクビにしてしまったので、彼らに付き添って教育できる人も、ミスをフォローできる人もいません。

そのような日々が約1年続きました。1年後、フレッシュマンたちは会社を退職してしまいましたが、その間に大切なお客様がどんどん離れていってしまいました。フレッシュマンたちはお客さんに相手にされず、訪問を拒否されることもよくありました。私の元勤め先は商社(代理店)で、同業他社もたくさんいて、彼らも似たような商品をたくさん持っています。営業職のレベルが低ければ、お客さんは他の代理店を探します。そして一旦離れていったお客さんを取り戻すのは、とても難しいことです。

同族社員の上には、さらに同族ではない本部長がいました。この人は、人柄はいい人なのですが、定年まで穏便に暮らせればいいという考えの人です。私は以前のように新商品導入を提案し続けましたが、亡くなった会長や、クビになってしまった技術・営業職リーダーのように、積極的に新アイテム導入をしようとしません。こうしている間に、同業他社にはどんどん、競争力のある日本メーカーの商品販売権を取られていってしまいました。

いま人気のある商品は、5年前に仕入先・販売先を開拓した商品です。そして、今売れている、5年後・10年後も同じように売れ続ける確証はありません。商社だって、メーカーと同じように、常に新しいものを追求して行かなければ、未来はないのです。でも、このことで焦っているのは私だけでした。

自腹は絶対に切らず、とにかく何でも経費で落とす

食事会に呼んでおいて社員に払わせる

年度末に同族社員に呼ばれて、部門全体で食事に行きました。ところが、お会計は全員社員の自腹でした。普段いろいろな同族としての利権を享受しているクセに、こういう時だけ一般社員や私たちの「友達」のフリをします。

この食事会、よく見ると同族社員たちが敵対派閥のメンバーだと思い込んでいる社員は呼ばれていませんでした。実際、そんな「派閥」はなかったのですが…。

色々な意味で全然楽しめない食事会でした。

もしここでおごっていれば、みんなの同族社員を見る目も少しは変わったと思うのですが、せっかくのチャンスを自ら逃してしまったのです。


他にも個人的に食事に呼ばれたこともありましたが、歯列矯正中で歯が痛かったので断りました。ワイヤー調整した翌日は歯が痛いので、クリニックの予約は、大事な会食の日近くに当たらないように取っています。同族社員たちも私が歯列矯正していることを知っていたのに、当日突然思いついたように私を呼ぶのは配慮に欠けると思いました。私が断った後も「青菜も食べられないの?」などとしつこかったです。食事会に行って、私に青菜だけ食べさせるつもりだったのでしょうか?(笑)

社員の結婚式は必ず欠席、ご祝儀も出さない

同族社員は、社員の結婚式にはいろいろと理由をつけて、一度も参加しませんでした。台湾でも、参加しない場合もお祝い・ご祝儀だけ包む習慣がありますが、そういったことも一切していませんでした。

私の場合は、ご祝儀らしきものとして台湾新幹線のチケットを渡されました。当初はビジネス席をくれると言っていましたが、その次の日になって普通席のチケットを渡されました。会社の経費で購入したチケットだと思います。私の結婚式は地方で挙げたので、確かに新幹線には乗ることになっていましたが、なぜ結婚祝いで新幹線のチケットを送ることになるのか、意味が分かりませんでした。同族社員たちが自腹を切らずに贈ることができる最大限のご祝儀だったのかもしれません。

その後、もらってばかりでは悪いということで500元ぐらいのお菓子のお土産を買って帰りました。

他の多くの同僚は、台北からわざわざ新幹線や自家用車で私の結婚式に駆けつけてくれました。来られなかった人も、出席した人に頼んでご祝儀を届けてくれたりしました。正直、そんなに多くの方々に祝ってもらえると思っていなかったので、驚きましたし、感動しました。細く長くではありますが、お祝いをしてくれた方々とはこれからも続けていきたいと思いました。

実際に結婚式に参加してくれた方々には「喜餅」(新婦側のお客様に送るお菓子のギフト)として1000元ぐらいの クッキーを渡しました。会社で配っていた時、同族役員はその時物欲しそうにしましたが、私は「結婚式に出てくれた人たちへのお礼(喜餅)だから」と言って断りました。

忘年会で賞金を当ててもおごらず、おごった人を悪く言う

台湾の忘年会ではビンゴ大会で社員に賞金(金券)を出す会社も多いです。私の元勤め先でも金券を景品にしていましたが、高額を当てた人は、部門内でドリンクなどをおごるのがほぼ慣例になっています。もちろん、強制ではないのですが。

ある年、私たちの部門でも高額を当てた同僚がいて、みんなにデザートをあげていました。その年は同族社員も高額を当てていたのですが、同族社員が何かをおごることはなく、デザートを配る同僚を遠くから見て

「みんなに配ってるんだ…みんなにあげちゃったら自分のところに大して残らないじゃない」

と言いました。

私も忘年会の景品が当たったあと、部門のみんなにドリンクをおごったことがありますが、賞金を当ててみんなにおごるのは、普段お世話になっている人への感謝の表れです。もし食事会をしてみんなにおごってあげたり、お菓子の一口でもみんなに配ったら、自分から社員への好意や感謝が伝わるとは思わないのでしょうか?せっかくみんなの気持ちを上げたり、自分への印象をよくしたりするいい機会だったのに、同族社員は自らそういうチャンスを逃していました。

お金や贈り物は、「気持ち」です。そんなこともわからずに、人の好意にまでネガティブなことを言うような人に、社員を引っ張って行くことなどできないと思います。

高級菓子をタダで欲しがる

先ほど、私が配っていた喜餅を欲しそうにしていたという話をしましたが、物欲しそうにするのはこの時だけではありませんでした。日本の取引先が来訪した時お土産をいただくことも多かったです。基本的に部門でいただいたものは、該当の部門のメンバーみんなで分けます。でもある日、いただいたお菓子がなくなっていたことがありました。
「社長に渡す」とか、そういうちゃんとした理由があれば別に問題ないのですが、同族役員にお土産をどこにやったか知らないかとたずねると、「隣の会議室に持っていく」というわけのわからないことを言ってどこかへ行ってしまいました。でもその日、その後の時間はどこの会議室も使われていませんでした。おそらく自宅に持って帰ったんだと思います。お金持ちのはずなのに卑しい感じがします。



他にも同族社員が家に持って帰っているものとして、会議弁当があります。1ヶ月に一度、会社のお金で会議弁当を注文します。同族社員は、会議弁当を注文するだけしてお昼に会社に戻って来ず、食べないことがしばしばありました。でも午後に戻ってきて、そのお昼の会議弁当を夕方持って帰っているようでした。誰かにあげているのか、自宅でもう一度温めて食べているのかはわかりません。

今までされたことのある奇妙な「お願い」

これまで同族社員にされた奇妙なお願いの一つに、クビにした社員のその後の動向を探ってほしいというものがありました。それは私の仕事ではないので断りましたが、他にも同族社員は人を雇って身辺調査のようなことをしていたようです。そんなことをするよりも、優秀な社員を補充して欲しかったです。

もう一つされたことがある変なお願いは、コロナ発生後日本に行けなくなったので、「たまごの日本の銀行口座からとある日本の口座に日本円を振り込んでほしい」というものでした。「相手先は私たちの会社の取引先なの?」と聞くと、「とある事務所」と言われました。日本にある、創業一族の財産管理か何かをしている事務所なのかもしれません。そもそも協力する気はなかったので、台湾ドルなのか日本円なのかは確認しませんでしたが、金額は数十万円という単位でした。

断るつもりでいましたが、こんなことで社内の評価が下がったら嫌だと思ったので、「実家に確認してからお返事します」と言って、しばらくしてから断りました。こんなこと、普段使っている口座から送金手数料を払って送金すれば済む話です。都合のいい時ばかり人を「友達」呼ばわりして利用しようとするのは非常識だと思いました。


この他にも同族社員は、勤務時間中に仕事をしないでいつも経理や財務をこっそり呼んではヒソヒソ話をしています。

コロナ後の理不尽な対応

コロナウイルスの感染が広がったあと、社員にはマスクをするよう全社的に指示が出ました。でも同族社員はマスクをせずに、1日に何度も何度もくしゃみをしては、エクスキューズミーと言っていました。

コロナ以前はbless you(お大事に)などと返していましたが、コロナ後にも態度がほぼ変わらなかったので、エクスキューズミーと言われた時は、私は心の中で”I won’t (excuse you)”(許さない)と言っていました。

退職のゴタゴタ&最後のひどい仕打ち

私はもともとこの会社でやっていた仕事も、扱い品も好きだったんです。だからこそ何年も続けた訳ですが、こんな風に、会社の体制が変わってしまって、目標もステップアップも達成感もなくなってしまいました。その上、毎日本部長や同族役員のちんぷんかんぷんな話に付き合ったり、尻拭いをしたりと、自分のためにならない雑用ばかりが増えてしまいました。辞めない理由は、もう一つも残っていませんでした。

そんなある日、ついに私の転職先が決まりました。私の直属の上司は同族社員になっているので、呼び出して退職を切り出すと、なんととても驚かれました。そして、「何か会社の中で不満があったの?お給料?それとも役職?もともとあなたに関しては昇給も昇進も考えていたの」などと言い出しました。でもこれは嘘です。というのも、最近辞めていった同僚たち全員が同じことを言われていたからです。もし本当に昇給や昇進を考えていたのなら、もうしているはずです。しかも、この会社の昇給はとても少ないので、次の勤め先のオファーを超えることも考えられなかったし、ここに残り続けることが自分にとってマイナスになると思っていたので、

「もうオファーレターにサインしたので、待遇改善の要求を出すつもりはありません。次の企業の入社日は○月○日なので、遅くとも○月△日までには会社を離れたい」

とはっきり言いました。希望退職日の約1ヶ月前のことでした。

同族社員は最終出勤日の決定までには数日時間をくれと言ったので、数日後もう一度聞いたのですが、その時も、コロナの影響を理由にやはりまだ決められないと、回答を伸ばされてしまいました。

その二週間後、同族社員は本部長にも人事にも私のことを伝えていなかったことがわかり、自分から本部長と人事それぞれとアポを取って面談をしました。この二人は経験もあるし、話す内容も、進め方もマトモです。初めからこの二人に話すべきでした。同族社員は私の退職に関して何もしてくれませんでした。


私が退職を切り出して数日後、台湾国内でのコロナウイルスの感染が急増し、在宅と出社が半々になりました。その時私は同族社員とは別のグループに分けられたので、顔を合わせることは無くなりました。同族社員は私の最終出勤日にも顔を出さず、同僚たちは「今日も来ないんだ?たまごに対して失礼だね」と言いました。

最後の日々は、国際担当で出社するのが私一人になる形で、「嫌がらせされているのかな?早く辞めてほしいのかな?」と思うくらいでした。私の勤め先では、社員を大まかにふたつにグループ分けして、この週はA班が出社、この週はB班が出社、という乱暴な分け方をしました。この結果、私の出勤日に出勤している国際担当は私一人になってしまったのですが、これはおそらく同じチームの社員と私に話をさせたくなかった・・・社員どうしで会社の悪口大会をさせたくなかったんだと思います。

有給はもともと8日残っていたのに、「休みは取らないでほしい」と頼まれ、一度退職日を決めた後も「やっぱりあと1日伸ばせない?」などとズルズル話を伸ばされました。有給は給与換算してくれることになりましたが、人事に退職日から数えて計算してもらったところ、給与換算してもらえるのはたったの3日だということでした。

こんな中、オフィスの冷房が壊れた日があって(外は30℃以上)、そんな中で「ワンオペ」で仕事をするという日がありました。今まで我慢していたけれど、その時ばかりは「これは刑務だ」と思いました。

取引先への退職のお知らせは最終出社日に⁈

同族社員は若い上に、他の会社で働いた経験がないので、 私の退職のお知らせは「最終出勤日に一斉メールで取引先に送ればいい」と言い出しました。私はこの会社で約5年働いています。5年一緒に働いてきた取引先担当者が、辞める当日に一斉メールで退職のお知らせをしたらどう思いますか!?非常識だと思います。

しかもあまりに突然すぎるので、何か会社で悪いことがあったのか?解雇されたのか?会社の経営に何か問題があったのか?など、色々な憶測を呼んでしまうと思います。

当日はありえない、遅くとも3~2週間前には知らせないと失礼だ、と教えましたが、その後も退職日がなかなか決まらず、退職日一週間前くらいにようやく連絡できる状態となりました。退職日を決めるとき、最後はセリのように、「○日ならいい?それとも△日ならいいですか?」と、こちらが詰め寄るような形で、やっと決めることができました。


ところで、退職のお知らせのメールの中には「一身上の都合」とだけ書くよう、色々なマナー本やブログなどで言われていますよね。確かに一般的にはそうだと思うのですが、私のように会社がなかなか最終出勤日を提示せずギリギリになって連絡する場合は、「転職する」ということをさりげなく書いたほうが、相手も余計な心配をしなくて済むということがよくわかりました。というのも、私の以前の勤め先をよく知る人は、私のメールを見て「大丈夫ですか?自分から希望した退職ですか?次のところが決まっていなければ相談に乗ります」と連絡してくれた人もいたからです…。

この他にも、特に海外で働いている場合、「辞める」とだけ言うと、「日本に帰ってくるのか?」など色々な質問をされます。「一身上の都合」とだけ書いてそうした質問に一つ一つ答えるのがかえって大変だと思ったので、相手先によっては、「台湾に残ること」「別の企業で働くこと」を簡潔に伝えました。その方が、単に「一身上の都合」と書くよりも安心して受け入れていただけたような気がします。

離職証明書に書かれたポジション名

これまでさんざん同族社員の代理や尻拭いをしてきましたが、離職証明書を見てがく然としました。入社当初は「國外開發專員」(国外市場開発担当者)だったはずの役職名が、「助理」(アシスタント)となっていたのです。役職者並の仕事をさせておいてこのような仕打ちを受けるとは思いませんでした。結局この会社は、同族以外の人間の扱いはどうでもいいのです。

この書類は次の職場に提出することになっています。面接の時話した職務内容は、アシスタントの職務内容ではありません。先方に変に思われるんじゃないか?という不安もよぎり、本心では書き直してほしいと思いました。

夫にも、

「アシスタント!?たまごが!?それはひどいね」

と言われました。でも温厚な夫に、

「前の会社がしたことは確かにひどいけど、次の会社では就労期間を確認するのが主な目的だろうから、役職名は気にされないだろう。わざわざ書き直させて波風立てる意味はないよ」

となだめられて、そのまま提出することにしました。


ただ、今でも悔しいし、今まで責任感をもって仕事に取り組んできた自分の中の大切な何かを侵されたような気持ちは拭えません。

おわりに 〜 やっと辞められた安心感

以上、私が体験した、台湾の超・同族経営企業での出来事の一部をお話しました。

次の勤め先は同族企業ではなく、これまで遭遇してきた奇妙なこととは縁を切れるので、ホッとしています。

同族役員が、若いのにこの親族が作り上げた小さな世界から出ていかないのは、外の世界が怖いからだと思います。後ろ盾がなければ、ちょっと外国語が話せる若者に過ぎないからです。仕事で使う知識や経験や、自分で勉強したり努力したりして成長することがなければ、言葉だけできてもなんの役にも立たないのです。外の世界で人にむげにされたことがないので、全くの新人から仕事を始める自信がないんだと思います。そして、社員をクビにしたり 社員が退職したり新会社を起こすたびに「お客さんを盗られる」と過剰にビクビクしています。かわいそうだと思います。

元同僚の中には、同族社員たちの生い立ちや生活をうらやむ人もいましたが、私にとっては うらやましくもなんともありません。自分の家は別にお金持ちではありませんでしたし、受験や就職など失敗することもありましたが、自分で努力して色々なものを勝ち取って来たし、信頼できる人たちとの出会いもありました。だから万が一何かで失敗しても、自分の力でまたやり直せるし、相談できる相手もいます。

今回は主に私の積年のストレスを解放させるための記事になってしまいましたが、これから台湾の企業に就職される方には「こんな世界もあるのか」と思っていただければ、さいわいです(^_^;)

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

コメント

こばやし・たまご。台湾新北市在住。東京でのサラリーマン生活、オーストラリア留学を経て、2016年より台湾企業に勤務。
ムカつくこともあるけれど、私、台湾が好きです。

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