成分が同じなら規格は細かく分けなくていい
何かを買うとき、種類がたくさんある中から選べるって、なんだかうれしくなりませんか?私は数多くの商品から自分に一番合ったものを選べる、と言うことにある種の幸福感を感じます。
日本にいると、「〇〇用」と表記された商品も見かけたりします。健康食品でも「30代用」「40代用」とパッケージに書かれ、はっきりとしたターゲットに向けて個別に商品がデザインされていたりします。
でも台湾のお客さんに同じ方法で商品をすすめても、うまくいかないかもしれません。台湾人はとにかく単純・シンプルなことが大好きな傾向があるように感じます。
台湾のハイターは「ハイター」にあらず
洗剤もトイレ用、浴室用などいろんな種類がありますよね。
ところが、最近消毒に大活躍のハイター、台湾のスーパーだと種類はだいたい一種類で、表側に衣類用と書かれた商品が、目立つところにたくさん陳列されています。台所用・トイレ用などの種類は特にありません。
台湾人にとってはハイターはハイターという名前の洗剤というよりも、「次亜塩素酸という成分が入った漂白剤」です。裏面には各用途ごとの濃度が明記されていて、これに合わせて希釈して使えばいいという考え方なので、別に〇〇用とわざわざ商品そのものの種類を分ける必要はないのです。
種類多すぎはイヤな台湾人
勤め先(商社)では、世界各国の医薬品や食品関連商材を、台湾の企業に販売しています。
医薬品などのタブレットの原料も販売しているのですが、当初海外のメーカーさんが商品を紹介してくれたとき台湾人の同僚が驚いたのは、その規格の多さ・用途の細かさです。
パウダー状のその商品シリーズ、主要成分はどれも同じなのですが、粘度と粒子の大きさが異なる組み合わせが十数種類もあります。
メーカーさんの説明で、各種類の商品それぞれに個別の用途があって、一つひとつの説明は合理的で、高い効果が得られることはよくわかりました。
でもそこで問題がひとつ。「こんなにたくさんの規格、お客さん使いこなせるかな…」
すべての台湾のお客さんがそうとは言い切れませんが、規格が多すぎると、混乱させてしまうことはあっても、よろこばれることはあまりありません。
結局タブレット原料の規格は、話し合いに話し合いを重ねた結果、粘度が高い・中くらい・低いの3種類を中心に販売しようということになりました。この3種類であれば、お客さんにもわかりやすく、受け入れてもらえるだろうという判断です。
実際には3種類のうちよく売れているのは粘度が高い・低いの2種類となっています。お客さんによると理由はやはり「わかりやすいから」で、「中くらいの粘度の商品なんて、そんな細かい種類はいらない」だそうです。
用途やジャンルを細かく分けない台湾人
焼き肉のたれ & とんかつソースを区別しない
規格が細かすぎるのを嫌うということもありますが、いろいろなものを細かくジャンル分けしないというのもあります。
例えば、とんかつソースを売り込もうとして失敗したことがあります。台湾人には、焼き肉のたれとの違いがわかりにくく、新たに導入する魅力がないとのことで、お客様からことごとく却下されてしまいました。
日本人からすると信じられないことです。とんかつソースと焼き肉のたれとでは、甘みやにんにくの風味、深み、奥行きなど、だいぶ違うと思うのですが、これは今回のお客様だけではなく、「大半の台湾人が、あまり違いがないと思うだろう」ということでした。
感覚的に納得がいきませんが、発想を変えて、今度とんかつソースで焼き肉を、焼き肉のたれでとんかつを食べてみたら、新しい発見があるかもしれません…。
ティッシュがトイレットペーパー?
家庭にもよりますが、多くの台湾人が、ティッシュペーパーとトイレットペーパーの使い分けをしません。
トイレットペーパーが摘み取り式の四角い形のパッケージに入っているので、そういう包装のトイレットペーパーを買い、リビングでもトイレでも同じ種類のものを使います。
私の勤め先が入っているビルは、トイレにトイレットペーパーが設置されていませんので、毎回自分のトイレットペーパーを持参します。そしてお昼にご飯を食べるとき、手や口を拭くときも、そのトイレットペーパーを使います。トイレットペーパー自体に罪はありませんが、ティッシュではなくトイレットペーパーで口を拭くのはなんとなく汚い感じがします(笑)
日傘も雨傘も傘は傘
日傘と雨傘も分けません。日差しが強い日はおしゃれな女性も当然のように雨傘をさして日差しを遮ります。
こうしてみると、特別なUVカット機能がなくても雨傘でもある程度の日差しは防げてしまうので、逆にどうして今まで日本でわざわざ日傘を買っていたのか、考えさせられます。それでもやっぱり、晴れた日に堂々と雨傘をさすのには個人的には非常に抵抗があります。
台湾でいろんなものに二つ以上の用途を持たせる例は他にもたくさんあると思うので、気づいたら追記していきたいと思います。
ところで、私の夫(台湾人)は私を”万能老婆”=”万能の妻”と呼ぶのですが、それは「万能の天才」の万能ではなく「万能包丁」のような、便利に使えるという意味の「万能」なのかもしれません。人生のお供に潰しが効きまくる万能の妻を選ぶとは、高雄人夫、賢い選択です。先ほど初めてそれに気づいてしまったので、今日はちょっと落ち込んでいます(^^;
おわり
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