おもしろ旧正月飾り:春聯2021春節〜鬼滅の刃が台湾の常識を超越(笑)

台湾生活
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こんにちは!たまごです!

今日は、旧正月準備ということで、この前見てきたおもしろい旧正月飾りの春聯のご紹介をしたいと思います!

今はオーソドックスな春聯の他に、ちょっと遊び心やジョークが入っているおもしろいものもたくさんあるんですね!

そもそも春聯とは?

元々、桃の木で家の門に作った厄除けの対句・・・”對聯”というものがあり、その後、門にデザインされる/貼られるものは門聯,旧正月に使うのは春聯,結婚式用は喜聯,長寿祝いには壽聯,お葬式には輓聯などのように、様々な種類に派生していったそうです。

▼こちらは以前中国・深センに行ったとき撮影した門聯です。筆跡がなんかカッコイイ!”天上星辰應作伴,人間松柏不知年”・・・天空の星と同じように、この世の松は年を取ることを知らない、という内容で、目的としては長寿のお祝いの”壽聯”に当たります。

というわけで、春聯は一般的に、旧暦のお正月に、中国や台湾など、中華圏のお宅や会社などの門に貼る、赤い紙のことです。縦に二枚の紙に、対句が書いてあります。対句は、おめでたい言葉「吉祥話」であったり、詩であったり、様々なものがあります。一般的には、左右両側に縦に貼る他に、ドアの上にも一枚横に貼ることが多いです。枚数を奇数にすることが縁起がよいためと思われます。

ちなみに春聯は英語にすると“Chinese New year Couplets”(旧正月の対句)となります。対になっている文字数は左右同じ必要があります。街中を見ていると、4文字のものも、5文字のものもありますが、7文字のものが多いように見受けます。個人的な感想ですが、リズムの良さや格調高さという意味では、7文字のものが一番いいような印象を受けます。

▼新光三越のデジタル対句(台北)

春聯は「対になっているもの」と言いましたが、正方形の、別に対になっていないものも、旧正月用の赤字におめでたい言葉が書かれているものはまとめて春聯と呼んでいます。

この他、春聯と年画や倒福を組み合わせて貼ることもあります。

年画というのは、おめでたい絵のことで、倒福という正方形の尖った部分を上下左右に来るようにし、真ん中に”福”と書いたものを逆さまに貼るものです。”倒”は逆さまにするという意味があり、玄関に貼るときは上下そのままが縁起がよいそうなのですが、他の部屋などに貼るときは上下逆さまに貼ることによって”福到”=”福来る”という意味になります。”春”をさまさまに貼って”春到”=“春来たる”とすることも多いですね。でも台湾だとそこまで厳格ではないことが多く、”福”も”春”も倒さずにそのまま貼られていることも多いです。おめでたければ、作法はそんなに厳格でなくてよいのですね!

▼台湾の2016年(申年)のハローキティ春聯。デザインが自由です。

▼オフィスビルの春聯

春聯のルール

春聯の貼り方などは、”春聯「八大禁忌」”で検索するとたくさん出てきます。しかも、異なるニュースサイトがまったく同じ内容を載せています…。

▼自由時報はすごくシンプルに紹介しています。

別誤觸!貼春聯「8大禁忌」 貼錯恐招晦氣衰整年 - 生活 - 自由時報電子報
過新年迎新春,民眾已準備在家門口張貼春聯,想替家裡增添喜氣、帶來新氣象。就有民俗專家整理出貼春聯的8大禁忌,提醒民眾一定要特別留意,否則好運還沒到,反而就先招來晦氣!綜合媒體報導,民俗專家楊登嵙提出貼春聯的「8大禁忌」,提醒民眾留意別貼錯,...

Just a moment...

簡単にご紹介しますと、

  1. 上&左右のレイアウトを間違えない

上の部分は横書きなので間違えないと思いますが、左右の上の句と下の句を間違えないように。

上の句の最後の一文字は通常、中国語の発音の三声か四声。下の句は一声か二声で終わっているそうです。でもたまに判別できないケースもあり、その場合は台湾語の発音を参考にすると良いそう。

ちなみに上の句は伝統的には右側に、下の句は左側に貼るようですが、実際には逆に貼る人もいて、ようは意味がわかりやすいことが大事だそう。

2.玄関に貼るものの注意

玄関には「福」、「招財進寶」などの文字は貼ってもOKですが、「春」を貼ると色恋沙汰で悪い虫がつくのでNGです。(昔は色っぽい場所だけに「春」を貼ったとか)

しかし、台湾では実際にはそこまで神経質にならずに、門や玄関にペタペタと「春」を貼っているオフィスビルやお宅は、けっこう見かけます。

3.玄関の「福」、「財」は逆さまにすると縁起が悪いのでしない。

逆さまにしていいのは家の中の部屋のドア・窓・壷など。

4.貼る枚数は奇数にする。(縁起がいい)

5.貼る時間

旧暦の12月24日の送り神から大掃除をして、それが終わった頃貼る。一番いいのは旧暦の大晦日の朝6時からお昼の12時まで。

※『Chinese Couplets』という本によると、正式な用法ととしては、旧暦のお正月に合わせて貼り、15日に片付けるというルールもあるそうです。(Tai, 2020)(諸説ありそうです。) でも台湾では旧正月に向けて新しいのを貼って、その後も特に明確な期限はなく、ずっと貼っていますね。基本的に次の旧正月が近づいたときに、ペリッと貼り替えることが多いです(笑) 日本の正月飾りのように、1月7日や1月15日に急いで撤収することはありません。

6.使用済み春聯は再利用しない。

去年、近所でかなり日焼けしたミッキーマウスの春聯を使っているお宅を見かけましたが、こういうのは厳密にはNGです(笑)(12年前のミッキーを再利用している疑惑)

7.基本的に好きな言葉を書いてよいですが、不吉な文字は使わないこと。

例えば「滅」、「絕」、「死」、「亡」など。

※でも私はここでちょっと思います。今年「滅」を見た気がするな…、と。後ほど「新作春聯」でご説明します)

8.喪中の年は貼らない。

新作春聯

街で見かけた、ユーモアのある、比較的新しいタイプの春聯です。

ご家族みんなで住んでいるお宅には貼られないでしょうが、一人暮らしのかたや、学生さんのお部屋、うちのように子どもなし夫婦の家には貼られる機会も多いかもしれません。

比較的多く見かけるのは次の通り:

少加班・・・残業を減らす(減らしたい)

我(就)要廢・・・とにかくダラダラ過ごしたい

もはやお祝いごとというよりも、何かの宣言になっていますね。貼り方は同じでも、書かれる詩や文言が変わっていくというのは、その年その年の状況を表していておもしろいですね!

仕事関係だと、こんなものもあります:

業績長紅・・・業績がグングン伸びる

訂單接爆・・・受注が爆発的に増える

百萬年薪・・・年収百万元

百万元は360万円くらいで、日本のサラリーマンのお給料としては平均を下回りますが、台湾だとある程度の高収入の目安なんですね。これも、あと5年後、10年後には給与水準が上がって、数字がどんどん増えたりして⁉︎

それから、今年ならではだなぁと思ったのはこちら:

・全集中

・○○之呼吸

これらの元ネタはすべて、映画にもなったマンガ、鬼滅の刃ですね!台湾でもお子さんを中心に大人気となっており、映画も公開初日から親子連れでいっぱいだったそうです。友達の子ども図書館でコミックスを借りて夢中になって読んでいます。

」は縁起の悪い文字に当たるはずなのですが、もうそんなの度外視ですね。よく見たら左右対句にもなってない(^_^;)でも、鬼滅の刃が大好きな子は、お部屋にこれを貼ったら毎日楽しいでしょうね!

台北紅包大王 – 新作春聯がと紅包袋豊富なお店(期間限定)

今回たくさんの新作春聯を見つけたのはこちらのお店です。紅包袋も豊富です。

(1) 忠孝敦化路口-王道銀行の横(忠孝東路四段137號) 忠孝敦化7番出口を出てまっすぐ行ったところの右手。

 期間:12/8 – 2/17(終了)

 営業時間:12:00~22:00

(2)新光南西の並び(南京西路1-1號)中山駅の3番出口から出て左にまっすぐ行ったところ。

 期間:12/21 – 2/18(終了)

 営業時間:12:00~22:00

(3)中止決定 台北年貨大街(迪化街一段56號)

 期間:1/29 – 2/10

 営業時間:10:00~23:00

私が見に行ったのは(2)新光南西の並びになります。ここだと同じ並びに五金行もあって、そこでも春聯が売られているので、はしごすると便利です。

◆台北紅包大王

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▼中山の五金行で買った春聯。「老婆永遠是對的」=「奥さんの言うことはいつも絶対」

参考にした本

実は今回春聯について調べていたら、こんなおもしろい本を見つけてしまいました!

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對聯をテーマにした本で、對聯の概念・哲学や、芸術としての對聯、中国の歴史的建造物に飾られている對聯、世界各国での使われ方、お正月に限らず結婚式や年長者のお誕生日など様々なシーンで使われていること、などが紹介されています。また、ユーモアのあるポップな春聯にも触れるなど、様々な對聯が幅広く調査されています。私も今読んでいるのですが、すごくおもしろいです。

著者は台湾出身のクリスタル・タイさんという方で、学問的なバックグラウンドとしてはジャーナリズムを学んでいた方だそうです。こちらの本は日本語翻訳版はないのですが、「英語・中国語のバイリンガル版」と、「中国語オンリーバージョン」の2種類が出版されています。上記のリンクは、「英中バイリンガル版」になっています。春聯や、中華世界の文化に興味のある方、英語と中国語学習者の方にもおすすめです!もちろん繁体字です!

この本はアマゾンのKindle Unlimitedの対象になっているので、もしメンバーになっている方は、新たな課金なしで読むことができるので、とてもおすすめです!

私は旧正月は台湾の親戚の家に行くことになっているのですが、移動時間が長いので、けっこう本を読むチャンスになっています。実は私も、ちょっと前まで完全なる紙媒体派だったのですが、Kindleだとスマホやタブレットがあれば、何冊分でも持っていけるので便利ですよね(*´∀`)

みなさんも、どうぞ楽しい旧正月をお過ごしください!

コメント

こばやし・たまご。台湾新北市在住。東京でのサラリーマン生活、オーストラリア留学を経て、2016年より台湾企業に勤務。
ムカつくこともあるけれど、私、台湾が好きです。

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