ニニ八國家紀念館〜ニニ八事件の犠牲者の名誉回復をする場所

二二八國家紀念館 台湾社会学習
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こんにちは!たまごです!

今回は2021 年2月21日から228國家紀念館で開催されている「土地傷痕」を見学してきました。この展示は2021年5月16日までです。

※ご注意!台北二二八紀念館とは異なります!(台北二二八紀念館も素晴らしい教育施設です)

▼台北ニニ八紀念館についてはこちら

228事件とは?

ごくごく簡単に説明しますと、228事件とは、1947年2月28日に台湾で起こった、元々台湾に住んでいた本省人と、大陸から台湾にやってきた外省人(中国国民政府とその家族)が衝突した事件です。1947年2月27日に、本省人の女性が闇タバコを販売していたところを、国民政府の役人の取り締まりを受けます。この取り締まりのときこぜり合いが起き、関係のない本省人が巻き込まれ、亡くなってしまいます。

▼今の事件現場の様子。目立たない石碑がひっそりと建っています。以前ここでお花をたむけている二十代くらいの若い人ふたりを見かけたことがあります。

この事件を機会に、それまで本省人たちの間でたまっていた不満が爆発し、翌28日に本省人からの抗議デモが起こります。その後本省人と外省人の暴力的な事件に発展。

その後この事件の波紋は台湾全土に広がって国内戦争のような状態になり、本省人・外省人ともにたくさんの犠牲者を出します。(同じ漢民族同士が、中国語を流暢に話せない人を本省人と識別、日本語を話せない・君が代や軍艦マーチを歌えない人を中国から外省人と見分け、殺し合ったと言います。)

その後国民政府は中国大陸から軍事力の応援を呼び、本省人を捉えて逮捕したり殺害したりします。今でも遺体が見つかっていない方々がたくさんいるとのことです。

台湾で言論の自由が認められるようになったのは1987年のことで、それまでの間、台湾人は「この事件のことは公の場で口にしてはならない」という、「戒厳令」のもとで生活することとなります。台湾政府としてこの事件に対する正式な謝罪をしたのは、1997年の李登輝元総統のときです。

228和平公園にある記念館が、この事件が起こった当時の歴史的な背景から事件のてん末を展示しているのに対し、この228国家記念館の主な目的は、犠牲となった方々の名誉を回復することとなっています。

228和平公園にある記念館も、構成やテーマがはっきりしていてわかりやすく、メッセージ性も強く、素晴らしい記念館だと思います。とても恐ろしい事件なので、とても平常心では見学できないのですが、まだ行ったことのない方でご興味のある方にはぜひ行ってみてほしいです。

◆事件現場

二二八事件引爆地紀念碑

228国家記念館 常設展 ※写真注意

こちらは犠牲者の追悼をする展示がメインとなっています。事件当時の歴史的な背景や事件のてん末に関してはコンパクトにまとめられています。

日本政府が去って、中国からやってきた国民政府には中国語の使用を求められます。

新しい雑誌では、日本からの植民地支配から脱したことで「新しい台湾」が強調されたそう。

当時の日本の最高峰の教育を受けた人ほど、国民政府から目の敵にされました。医師、政治家、教育者、ジャーナリスト、農業家、学生…この方々が自身の人生をまっとうしていたら、台湾はもっと早く発展し、もっと素晴らしい国になっていたと思います。

生存者の方々の、癒えない傷。

遺品の数々です。

遺体が見つかっていない方々もたくさんいます。台湾のどこかで眠っているであろう方々に思いをはせます。

「土地傷痕」〜228事件の現場の今と昔を感じられる展示

建物の二階に上って左側が特別展になっています。

台湾各地の事件の重要な場所の当時の様子と今の様子がわかるようになっています。事件がより身近にリアルに感じられます。

▼2月28日当日の民衆と学生らによるデモの足取りをたどることができます。

そしてなんと、この冊子がいただけるのです。ここで見たものを全部覚え切れなくても、この冊子にビッシリ情報が書かれているので、あとでゆっくり読めます。各場所の紹介ページには、QRコードがついていてGoogleMapsが読み込めるようになっています。この冊子を持って228事件に関する場所に行くこともできますね。特別展の入り口のところに設置されていました。

書籍コーナー

特別展と常設展の間の、特別展寄りの方に書籍コーナーがあります。貸し出しはしていませんが、その場で自由に読むことができます。228事件関連の書籍がこんなにたくさん出版されているとは知りませんでした。高雄の、関係者インタビューの記録だけでも、1巻から3巻まであります。

書籍の内容はシビアですが、晴れた日には日差しが明るく、とても気持ちのいい場所です。

バルコニー

二階の特別展と常設展の間はホールのようになっていて、バルコニーがあります。ボランティア職員さんが開けてくれました。小学校の子たちが見学に来たときにも開けてあげるのだそうです。(以前は外でこの事件のことを話題にするのも禁じられていたのに、今では小学校のうちからこの事件について学ぶ機会があるんですね…。)

こうしてみると、改めてきれいな建物です。

アクセス

228国家記念館(元 台湾教育会館)

所在地 台北市中正區南海路54號

※MRT小南門から徒歩約6分

入場料:無料

地図

おわりに

台湾人は、日本時代には日本語化学習を強要されたのに打って変わって中国語の使用を強要されます。いつも外からやって来た支配者に振り回されて来た台湾ですが、今は民主主義で、メディアでも自由な表現ができることはすごいことだと思います。(ちょっと自由すぎるなぁと思うこともありますが^_^;)

228事件が起きた時は既に日本政府はいませんでしたが、この事件は日本とも無関係ではありません。もし日本の皇民化運動がなければここまで悲惨なことは起きなかったと思います。関係あるからと言って過去を変えることはできませんが、知ることと忘れないことは、もう二度とこのようなことを起こさないことにつながると思います。228国家記念館、ご興味のある方はぜひお立ち寄りください。

コメント

こばやし・たまご。台湾新北市在住。東京でのサラリーマン生活、オーストラリア留学を経て、2016年より台湾企業に勤務。
ムカつくこともあるけれど、私、台湾が好きです。

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