こんにちは!たまごです。
今日は台湾人スタッフの勤怠管理についてお話ししたいと思います。
というのも、最近友人の勤めている会社(台湾に拠点がある日系企業)で、台湾人スタッフさんの休暇申請の管理に苦労しているという話を聞いたからです。台湾進出や台湾駐在で同じような悩みを持たれている企業のオーナーさんや管理職の方もいらっしゃるかもしれませんね。
今日は、台湾人オーナーの会社の勤怠管理を中心に、台湾式管理方法の一部を一緒に見ていきましょう。
日系企業 – 台湾に進出したばかりの失敗例
先ずは、台湾に進出して間もない日系の販売業の企業の例です。店舗展開し、台湾の一般消費者向けに商品を販売しています。
さすがは日系企業、一般的な台湾系の企業と違って、社員さんはキチンと時間通りに出社します。(これが普通の台湾系企業の台湾人スタッフだと15分くらい遅れて来ます。)
問題は、当日突然病欠を申請するスタッフが後を絶たないこと。
一度そういう例を認めてしまい、それでもお店が回る実績ができてしまったせいで、その人だけでなく、他の人もちょっと具合が悪かったり、ちょっとした用事があって休みたいという理由で、当日突然休みを申請されることが頻繁に起こるようになってしまいました。
どうして「ちょっと用事があって休みたいという理由で」と断言しているかというと、いつも休みの申請を日曜日にぶつけてくるからだそうです。私はその話を聞いて、そこまで来るとちょっと、悪質だなぁと思ってしまいました。もし私がそのスタッフの上司なら、個人的に呼び出して「いつも日曜日に休むけど何か理由があるのか」とか、「他の人だって日曜日休みたいのに来てくれてる」、とかハッキリ言うと思います。でも、友人の会社では特に何の追求もしていないそうです。
こういった社員さんがいるので、まじめに働いている社員さんのやる気はどんどん下がっているとのこと。社員さんのなかには、「自分の都合で突然休んでも怒られないんだ」、という認識になってしまった人も多く、現在では同じ店舗の複数の社員さんが時々突然休むようになってしまったそうです。
職場の雰囲気や意識が一度このように崩れてしまうと、立て直すのはとても大変ですよね。
台湾系企業A 求心力の高い零細企業の成功例
ここからは台湾人の友人の勤め先の話です。
会社の概要:社員数10人程度。設立から2年ほど。資本金・売上は零細規模です。事業内容は会社対会社、BtoBの卸売業で、社長が台湾人の、ローカルの企業です。
この会社では社員が当日急に休んでしまうことはほとんどありません。
社員は少ないですが、個々のやる気が全体的に高い職場です。社長もある程度社員を信頼しているので、会社ではタイムカードなどの必要は特にありません。
朝の出勤の様子は、というと…この会社の入っているビルの下層階は住居仕様になっていて、社員のうち数人はそこで生活しています。出勤時間になるとエスカレーターを上っていくだけです。ギリギリセーフかギリギリアウトくらいに到着しても、なんの問題もありません。
私個人的には、あんまり会社の近くに住むのも、気が落ち着かなそう…と思ってしまいます。でも友人は、「会社が近いのでギリギリまで寝ていられるし、交通渋滞などの移動の心配もしなくていいので、今の暮らしに満足している」んだそうです。
退勤時間も特に分刻みでは管理しません。社長はみんな目標の成績に到達していれば特に時間のことは細かく言いません。お給料も同業他社の相場よりも少し高くもらえているそうで、それもやる気につながっているのでしょう。
求心力や社員のやる気がある会社では、特に細かい社則は必要ありません。規模的にも、社員数が少ない場合は勤怠管理はしやすいかもしれませんね。
ただしこれは理想的なパターンで、実際にこんなふうにうまくいっている企業は少ないと思います。
台湾系企業B 中堅規模・やる気が低い職場での成功例
遅刻を段階的に取り締まる!まずは8:00までに打刻
さて、私がよく知っている、とある台湾系企業の例です。
この会社でも、社員が当日突然休んでしまうことは滅多にありません。
会社の概要:台湾人オーナーの企業。全社員100人以上200人未満。業歴数十年。資本金、売上規模的には中堅企業。事業内容はBtoBの卸で、台湾のこの業界の株式非公開企業にしては大きい規模に当たるようです。
社員はオフィスのカードキーをオフィス入口のカードリーダーにタッチして出勤記録を付けます。出勤時間は朝8時です。
※日本で会社勤めだと9時のところが多いかと思いますが、台湾だと多くが8時か9時のどちらかになります。ちなみにタイムカードというのはオフィスのカードキーで、社員証ではありません。社員の出入りが激しいので、いちいち個人の名前入りの社員証は作らないのです。
この会社では、1ヶ月一度も遅刻しなかった場合、精勤手当「休暇無取得ボーナス」1,000元が支給されます。
8:00出勤ですので、台湾ルールで8:00:59までに打刻すれば正常な出勤状態として会社のシステムに記録されます。もし1秒でも遅刻した場合、その月は精勤手当は出なくなります。
また、退勤時の打刻がなくても、精勤手当はゼロになります。
台湾在住の日本人同士で話題になったことがあるのですが、この精勤手当1,000元を出す台湾企業は割とあるらしいようです。
日本人からすると、遅刻しないことが当たり前なのでちょっと変な感じがしますよね。
▼「えっ? 8時出勤って、7:59までに打刻じゃないの?」「たいがいの会社はみんな遅刻してくるって本当?」 詳しくはこちらの記事もどうぞ^ ^▼
8:01 〜8:15 は単なる”遅刻”
8:01~8:15に打刻した場合は「遅刻」扱いとなります。
もし月に5回遅刻すると、ベテランの人事部社員から連絡があり、
「最近、生活面で何か困っていることはない…?大丈夫…?」
ということを聞かれる個人面談が行われます。(このルールは社規社則集には書かれていません。)
直接「遅刻しないように」と言ってこないところがいかにも「業歴のある台湾企業のベテラン人事」らしいと感じます。台湾のある程度以上の年齢の人って結構オブラートに包んだ言い方する人多いですよね…。台湾って日本に比べるとコミュニケーションの取り方がざっくばらんな印象がありますが、会社に勤めていると意外と空気を読む必要があるシーンも多いです。
8:16を過ぎたら問答無用で…?
朝8:16以降は問答無用で一律休暇を取らされます。一時間単位で休暇申請を出すことになり、日割計算・時間割計算でお給料が引かれます。
体調不良などで当日朝突然休むことになった場合、有給が残っていてもこの分を有給に当てることはできません。お給料を日割り計算で引かれます。有給とは別に処理されるので、残りの有給休暇は残ったままです。
※ちなみに台湾の年度末は12月ですが、年度末に残った有給は、法定ではお金に計算して社員に返す決まりになっています。ただし、ほとんどの台湾企業はこれを無視していると思われます。この会社では年末までにその年の有給を使い切るよう奨励はされますが、使いきれなかったらそれまでです。
病欠は当日病院で診療を受けた人を対象に、日割り計算で半日分のお給料を引かれます。台湾の労働基準法の通りです。
生理休暇は月に一日だけ取得が許されていますが、生理休暇もお給料を引かれます。これは特に診療の必要はなく、半日分のお給料が引かれます。
このため、ちょっと具合が悪いくらいでは当日突然会社を休む人はいません。
在台のアメリカ系の会社に勤めている友人に話したら「ずいぶんケチな会社だね」と言われましたが、このシステムがあるおかげで、社員が適当に当日突然休むのを防げていると思います。
一方、有給休暇を申請するときは、1ヶ月前〜遅くとも数日前までに前もって代理人を指名して、同じ職種の社員が同時に休まないよう調整します。これはこの会社の社則で決められています。ですから、例えば同じ国際部の仲良しコンビ2人が、揃って海外旅行に行くことは絶対に許されません。
ちなみにこの会社、日本人から見ると社員全体のモラール(やる気)は低い方です。特に内勤者のモラールは低いです。
具体的にどんな風にやる気がないかというと、基本的に時間がきたら作業は終わり。仕事の時間中に、上司から指示された作業が終わったらネットサーフィンやネットショッピングを始める。仕事の時間中に休み時間にやるべきことを食い込ませたりして、どうにかして自分の自由な時間を増やそうとしている社員もいます。
だからこそガチガチのルールを先に決めて、それで行動を管理しているとも言えるでしょう。
▼とある台湾企業の内勤社員がオフィスでこっそりやっていることとは…
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